悪役を作る
『ストーリーブランド戦略』ドナルド・ミラー より
消費者に関心を持ってもらいたいなら、消費者が悪役を倒すために使える武器として商品やサービスを位置づける必要がある。そして悪役は卑劣でなくてはならない。悪役は人である必要はないが、擬人化できる特徴は必要だ。
たとえば、時間管理のソフトウェアを販売しているなら、「気を散らす娯楽」を悪役にしてはどうだろう。気を散らす娯楽を撃退するために使える武器として商品を宣伝すると、印象的になるのではないだろうか。「気を散らす娯楽」は消費者の可能性を狭め、家族をばらばらにし、健康を損ない、膨大な時間と費用を無駄にさせることがある。つまり、「気を散らす娯楽」は立派な悪役になりうる。
消費者の抱える問題を悪役にする手法は、テレビCMで例を確認できる。たとえば、家の床板に溜まる埃の塊が、革のジャケットを着た悪者集団としてアニメーションで描かれ、床を台無しにしようとする。そこに、〇〇モップ会社の新製品という強いヒーローが現れる。
想像力をかき立てて消費者の抱える不満に注意を向けてもらうため、広告では消費者が直面する問題を擬人化することがある。甲高い声をした、ふわふわした毛の塊が排水溝に住み、巣を作り、パイプを詰まらせる。生きて、呼吸して、話をする黄色いプラーク(歯垢)の塊が歯と歯の間で休暇を楽しむ。これはすべて、問題の擬人化であり、物語の悪役である。
悪役の特徴
そこで、適切な悪役の特徴を4つ、以下に挙げてみよう。
①悪役は根本原因で作る
たとえば、不満は悪役ではない。悪役がもたらす感情である。例を挙げれば、高い税金は悪役にふさわしい。
②悪役はすぐわかる
登場してすぐに好ましくない存在だとわかったほうが良い。
③悪役はひとりである
悪役はひとりで十分だ。悪役が多すぎる物語はわかりやすさを犠牲にして破綻する。
④悪役は実在する
捏造はいけない。戦うべき悪役はいくらでも存在する。消費者の代理としてその悪役を追いかけよう。
あなたの消費者の物語にも悪役が存在するだろうか。もちろんだ。商品やサービスによって、打ち勝つべき問題の主な原因は違う。それが何かを考えて、その悪役について語ろう。悪役について語れば語るほど、悪役を打ち負かすための道具を求める消費者は増える。
あなたのビジネスにストーリーを使いませんか?
“人々が買うのは最高の商品ではなく、一番わかりやすい商品だ!”と言われます。
あなたのビジネスも、悪役を作り、それを解決するのが自社商品です!と、みんなが引き込まれるストーリー調のアピールをしてませんか?